2012年3月4日日曜日

深い河/遠藤 周作・著

2010年2月28日(日)
臨終の床で妻が磯部に言った最後の言葉、「きっと生まれ変わるから、私を見つけて」 この言葉が頭に焼き付いて離れない磯辺は、妻の転生を確かめるためにインドに赴く。このインドツアーには、磯部の他、美津子、木口、沼田、が参加していた。彼らはただの観光客でなく、磯部のように各々事情をかかえて、このツアーに参加しているのだった・・・・・。
もう世界屈指と言っても良いでしょう。日本が生んだ純文学の巨匠、古里庵先生こと、遠藤周作の転生、とその考えの源となる宗教観、この二つを通して、愛とは?生きるとは?を読むものに投げかけて来る作品。不思議な事に、特に泣く場面でもないのに、涙がこみ上げてきます。また、何にも特別な場面も事件もおこらないのに、読み進められます。ほんとにこんな状態なのに、何故泣く?と思いました。たぶん、物語が自分の知れない領域「心のひだ」に触れて勝手に涙を流させたのだと思います。驚きました。読んでこんな気分になった本を書く遠藤先生、他の小説家とは1枚も2枚も上手です。それと、びっくりしたといえば、ラスト。「え?これで終わり?」と思わせる感じ。思わず、本の乱丁か、それとも先生のもしかして絶筆?と思ってしまいました。

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